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2024/11/21 07:27 |
学生対校演劇祭講評

過日開催された「学生対校演劇祭 第二章~皆拓狂騒曲」
(2011年6月17日~19日 於サンピアザ劇場)
審査員の一人として参加し、各作品に関する講評を求められたので
以下のように感想を述べました。ここに転載します。

観劇順
◆北海道情報大学演劇部  6月18日(土)13:00~観劇
創部2年目とのことで、やってみたいことあれこれ、がんばったことを認めたい。客席からの登場もそれなりに効果があった。しかし、意外性を意図した台本の、登場人物や集団の位置づけがよく伝わってこない。謎めいている、のと、分からないのは違う。また人間性がほとんど見えてこないのも物足りない。今後に期待。

◆小樽商科大学演劇戦線  6月18日(土)13:30~観劇
個人的には最も楽しかった。話の内容ではなく、役者がそこにいる「居かた」の楽しさである。背中を見せてゲームをしている独り住まいの男。むやみに意気込んでやってくる警官の男。奇妙にキチンとドアの開け閉めを決めるおばちゃん。高揚したり地に着いたりニュアンスを変えて続く会話に、シルエットシーンがはさみこまれ枠組みをつくる。
パンフレットのコメントに「初の札幌出撃」とあるが、かつて(25年~30年ほど前)は、演劇戦線の役者固有の存在感が札幌で良く知られており、北大演研との対決合同公演なども楽しみだった。そんな時代をちらりと感じさせる何かが、今もここに受け継がれていることを不思議に思う。

◆北海学園大学演劇研究会  6月18日(土)14:00~観劇
はじまりからテンポよく、手なれた舞台づくりは劇団の伝統によるものか。よくある話、予定調和な展開ながらよく出来た台本。照明や高低差を活かした舞台づかいなどもうまい。役者にも魅力がある。役者賞の阿部大介のほか、親父、ねえさんなど。これだけ揃った布陣で、もう少し鮮度の高い、イメージ豊かな、短編ではない舞台が見たいと思った。

◆北海道大学 劇団しろちゃん   6月18日(土)14:30~観劇
等身大の設定で若者3人の関係を見せるオーソドックスな台本である。キーワードをきっかけに本筋から外れたコントが折り込まれる、という最近見かけることの多い構成だが、台本は順当に良く出来ている。狙いは分かるのだが、私が見た回は、本筋とバカ騒ぎのメリハリが決まらず退屈、見終わってあいまいな印象。他の回では、このあたりが格段にキレが良かったとのことで最優秀賞となったが、客席がさみしくても左右されずにテンションの維持するちから、逆に客席に呼応して見せ方・立ち方を変化させることのできるちから、それを学生演劇に求めることは無理だろうか。


◆北海道教育大学札幌校 演劇集団空の魚  6月18日(土)15:30~観劇
若い人の日常意識を、エロっぽい猥雑さで見せるという難しい挑戦。気持ちは分かる気がするが、これもどこまでやりきれるかが勝負。私が見た回は、代表の親御さんが会場にいらっしゃっているとのことで気恥ずかしさが勝ったか、弾けきれなかったと見た。
舞台後方の妄想担当グループと、前景の日常会話が、シンクロしたりせめぎ合ったりする関わりの面白さをもっと見たかったと思う。


◆酪農学園大学 劇団宴夢  6月18日(土)16:30~観劇
力の抜けた風、を意図したが、それには演技の基礎力が足りない。シンプルな状況設定だからこそ、場と心理を想起させるリアリティが必要。就活にイヤ気がさして南のリゾートにやってきたサバイバル能力ゼロの男たち、という滑稽さをもっと見せられるはず。 
ただし、スコップの登場のさせ方は6団体中いちばん切れが良かったですね。  


 

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2011/06/29 00:42 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択
テアトロリストランテ寸評

4本の芝居を1時間半で楽しむ企画「テアトロリストランテ」の村山さんから、
芝居を観て率直な評価をブログもしくはツイッターで流す「評価システム」に
参加しませんかとのお話があり、寸評をお引き受けしました。
2011年4月9日(土)13:00の回をみた感想です。

星くずロンリネス  
3階建マンションの底が抜けた。一瞬にしてひと塊の集団と化した
住人たちは、さて、どうなったでしょうか・・・、というお話。
各階それぞれの会話が微妙にシンクロ、錯綜するプレイバックシーンは
よく構成されていました。
ニュージーランドが根にあるのかな? そういう深読みは無用と思うが
せっかくなら「地の底が抜ける」「足元が崩れる」という恐怖や非日常性をくっきりと
見せたら、最後の結末にも奥行きが出たのではないでしょうか。

Massive 4tsp.
Massiveの芝居を見るのはたしか3本目ですが、
毎回、どう楽しんだらいいのかな、という思いが残るのです。
役者の個性や、得難いキャラクターを見るのは、毎回とっても楽しい。
でも人物の関係やキャラクターがずっと変わらなかったり、
観る側のイメージが入りこむ余地のない、たたみかけ会話が続いたり。
も少し自由に楽しめるスキをつくってほしいです。

nargiless
ここで語られた内容は、ほぼ事実に基づいていると考えてよいのでしょうか。
被災地域の都市名をくり返し呼びあげる最終場面に説得力がありました。
震災から1カ月、いまだに日本中が整理のつかない想いをつぶやいているありさまが、
ここに、ある意味リアルに描かれた訳ですが、
表現に載せた以上、ここに止まるわけにはいかないでしょう。
朗読、群読、独白ナレーションは古典的手法で、
詩的に昇華する方向、冷徹な対話討論劇として構築する方向、
など様々な展開が考えられるでしょう。
今後のナルギレスの作品に、このテーマがどんな影を落とすのでしょうか。

リベラルシアター
荒唐無稽がサマになっているのですね。
演技の切れが良いのか、衣装などが丁寧に整えられているからなのか。
話の展開に脈絡がなく、無理がありすぎで、きょう観てきたばかりなのに、
どういう結末だったのか、思い出せないのだけれど・・・。
でもべつにそれで気にならない、のは、
演劇と言うよりバラエティショーだからでしょう。それも、あり、ですね。


2011/04/10 02:32 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択
五稜郭芝居2題
2010年10月15日(金) 

長くご無沙汰しました、お久しぶりです。
観たお芝居について、書いてみたくて再開します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

佐々木譲の原作を舞台化した『婢伝五稜郭』を見てきました。
(グループ虎+10・Quatreプロデュース/六本木俳優座)
★現在上演中 10月17日(日)まで
(2010年10月14日14:00の回を観劇)

戊辰戦争の最終局面・函館戦争のその後を描く群像劇です。
舞台前面を覆う大スクリーンに、鳴き交わすカモメの群れ。
江差追分を歌いながら客席から舞台へ消えた男は榎本武揚。
江差沖に沈んだ開陽丸の引き揚げ・調査を発端として物語は始まります。

五稜郭降伏を決断する榎本。
降伏に納得せず共和国の理想を追って出奔する兵藤。
これを追う討伐隊の隅倉。
官軍側に身を置きながら、やがて兵藤に共感してゆく矢島、竹富。
官軍の威を借り傍若無人に殺しまわる武士・大河内、酒田。
その犠牲となった青年医師井上の仇を討つ看護婦・志乃。
漁場の益を独占し、アイヌから収奪する近江屋。
近江屋の手からアイヌ娘クヨンテを救う手品師松旭斎天良一座。

このような登場人物を軸に、奮戦する中島三郎助親子、会津の生き残りの女剣士、
ロシア人農場主、アイヌ青年、等など実に多くの人物たちが関連しあい
入り乱れて物語が展開します。
旅の一座は、ストーリーに関与するように見えて、実は
狂言回しとして事の成り行きを見守る目であり、伝える口です。
エピソードの断片を拾い上げ、状況を解説し、講釈師として語る
舞台化にあたって書き加えられた、原作にはない登場人物です。

アイヌシャーマン風女性を中心に若い女性集団がダンスで情念を表現します。
劇中の死者はひとりひとり、この集団に囲われて舞台を去る。
暗転を避け、葬送の儀礼が演出されます。

第2幕の幕あきは、再びスクリーン。
長い髪を右に左に激しく振るアイヌ女性群の伝統舞。
物語は急展開に収束し、誰も彼もが、実に多くの人が死に、
残されたものは、風のうわさと、伝説。

終幕は再び、開陽丸が沈む江差の海。
老婆が指さす波のかなたから、一座を先頭に死者たちが大挙して姿を現し、
その幻がそのままカーテンコールとなります。
私たち観客は、死者が語る物語に耳を傾けていたのであり
芸能を担う者は時空を超えて死者の代弁者、というくくりです。
登場人物50名近く、休憩10分をはさみ2時間50分の大作。

このように書くと、重くシリアスな演劇に聞こえますが
見た目はとても華やかな娯楽作品。
人気グループ10・Quatreのイキのいい殺陣。
随所に盛り込まれたダンス。旅の一座のとぼけた雑芸。
そしてなにより、若者、中堅、テダレの各層揃った役者のバランスが
舞台の熱気を生んでいます。
典型的な悪役がこんなに楽しい芝居を久しぶりに見ました。

さて、去る8月、同じ五稜郭を題材とする佐々木譲作品の舞台化公演がありました。
『五稜郭残党伝』(劇団さっぽろ/函館市芸術ホール)
(2010年8月14日13:00の回を観劇)

降伏の前夜、五稜郭を抜け出して北海道の奥地へ向かうふたりの男・蘇武と名木野。
官軍の残党狩り隊長・隅倉兵馬。(『婢伝』と同じ登場人物)
逃避行を支え、ともに行動するアイヌ青年・シルンケ。
運上屋支配人の非道を逃れて一党に加わるヤエコエリカ。

『婢伝』が五稜郭の時代をめぐる多くの人間の群像劇であるのに対して
こちら『残党伝』は、この5名が北海道を東へ縦断する旅の物語です。

蘇武は、賊軍と呼ばれることを受け入れず、
流浪する中で、虐げられるアイヌに出会い、
長崎から逃れてきたキリスト教徒集団の惨状に遭遇し
身を以って新政府の理不尽を体感、確信して駆け抜ける。
そのバトンを受け継ぐのは、
死んだシルンケの子を身ごもって国後に希望をつなぐヤエコエリカです。

西部劇やロードノベルの要素を下敷きに書かれた原作は
活劇的なエンタティメント性のある作品ですが、
上演台本は、佐々木の小説の重要な場面、重要なことばを忠実に拾い、
馬が駆け、川を渡るようなシーンは、その場面の意味を守って書き換えてあります。

その結果、「言葉」が際立つ舞台となっています。
野営の焚き火を囲んで語りあうキャンプファイヤートークや
蘇武の心情を吐露した文書、
国後の島影に向かって決意を告げるヤエコエリカのつぶやき。
そのような「肉体を持った言葉」が際立つ、寡黙な舞台です。

公演会場は、まさに作品の舞台・五稜郭公園の一角。
アイヌの儀礼作法などは正しくアイヌ民族の指導を受けて演じられました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ひとりの作家の世界が、異なる場所で、異なる作られ方で
ふたつの舞台作品となり、その両方を見ることができたことは素晴らしい幸運でした。
だから、どうしても両者を比較してしまう。
大きな違いは、もちろん、この物語世界に対する「距離」です。
 
『婢伝五稜郭』の演出家・高橋征男がパンフレットに書いていますが
今回の座組は(俳優、スタッフを含め)年齢差が50を超えるという。
これは「遠い北海道の、遠い昔の物語」ではない、
同じ「生きた人間」の物語なのだ、ということを共有するための
工夫や演出が随所に、特に第1幕に多い。
なにもそこまでまぜっかえさなくてもいいのに、と思われるほど執拗に、
時空と認識の距離を意識させるつくりです。

コーヒーと地球儀をこよなく愛する榎本の人間像。
サケと新鮮野菜のシチューに歓声を上げ、サケよりホッケが食べたいとさわぐ娘たち。
苦いものは苦手だとコーヒーを拒否する殺し屋。
会津での想い出話。
そんなところに、ほっとするような親近感の土台を築いたうえで
理念と流血の物語を語る。
それが『婢伝五稜郭』が目標とするところであったでしょう。
その狙いはどこまで達せられたか。
本州在住の若い人たちに話を聞いてみたい、
と同時に私自身への問いかけとして受け取りたいと思います。
 
先月、9月25日・26日に江別市で
『はるかなるイプツ~江別~』という芝居が上演されました。
(劇団ドラマシアターども公演/江別市コミュニティセンター)
(2010年9月26日13:30の回を観劇)

明治9年、樺太から移住させられた854人のアイヌの人たちが
石狩川をさかのぼった現在の江別付近に住み、
そのうち約300人が、函館から広まったコレラ、天然痘によって亡くなったという、
あまり語られていない史実を扱ったもの。

この作品を発表するに当たり、また上演後の現在も、
作者のもとには、様々な情報や反響が寄せられているそうです。
四代にわたって密かにこの事実を語り伝え供養してきた人の話、
樺太アイヌの末裔の話、未だ公開されない資料のこと等など。

明治以降140年、北海道は歴史が浅い、と常に言われ続けますが、
歴史がない、のではなく、語られていないだけではないのか。
そのような視点が、いま身の回りで、様々な形で湧き起こっているように思います。
つまり『五稜郭残党伝』は、作品世界が物語の彼方にあるのではなく
自分たちの足元にひたひたと押し寄せる場所でつくられたわけです。

そのエネルギーを、演劇作品のなかにどのように位置づけられるだろう。
「この場所」から発信する演劇は、どんな可能性をもてるだろう。

日帰りで『婢伝五稜郭』を見て、帰途千歳に降り立つと
ひんやりと引き締まった空気が私を迎えてくれました。
札幌へ向かう車窓を
血がにじむかと思われるほど赤い上弦の月が追ってきた。
やはり、ここは別世界だと感じた。

佐々木譲さんがそうであるように
私たちは、そこかしこに複数の軸足を持ちたいものだと思いました。  

2010/10/15 13:42 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択
「かご」は面白い

23日(日)から始まった「バスケタリー展」。
(写真をクリック→拡大してご覧ください)
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バスケタリーは、かごづくりのことです。
古今東西、世界中で、様々な素材で、様々な目的で
「かご」はつくられてきましたが
「バスケタリー」は、実用性や職人仕事のスタイルにしばられることなく、
技法や素材への思索を深めたアート。
この展覧会は、7月に東京京橋の千疋屋ギャラリーで行われたものを
札幌に移し、15名の作家それぞれの「かご」を展示するもので
レッドベリースタジオのあたらしいイメージを見せてくれる
とっても素敵な展覧会なのです。

初日23日16:00からのギャラリートークには
東京、京都などから、
関島寿子さんをはじめ作家の方々が来札し
30名をこえる会場いっぱいの参加者が
バスケタリーについての関島さんのお話や、
出展作品についてのお話をうかがいました。

終了後の交流会は、同好の方々だけでなく
様々なジャンルの、アートを手がける人たちが
バスケタリーを通じて出会った素敵な時間でした。
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24日13:00からのワークショップは
定員15名を超える17名が参加して
講師の小西誠二さんから
素材ラフィアの扱いや、コイリングの基本を教わりました。

このあと、27日、28日には
「七つ組構造体験ワークショップ」があります。
詳しくは以下のとおり。
今からでも参加可能ですよ!どうぞふるってご参加ください。

日時:8月27日(木)/28日(金)
    ①11:00 ②14:00
講師:陣内律子
定員:10人
持参品:ハサミ、ホチキス
参加費:2,000円
所要時間:3時間 くらいの予定
参加申し込みは、レッドベリースタジオ(011-633-2535)まで

 


2009/08/25 18:45 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択
レッドベリースタジオはこちら
表通りからレッドベリースタジオに向かう
曲がり角に
札幌琴似教会の許可をいただいて
長年の念願だった案内板を設置しました。
(写真をクリック→拡大してご覧ください)
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また裏側の通りを来てしまった方のために
壁面に「REDBERRY STUDIO」の文字を
掲出しました。
(お隣のお庭の向こうに、見えてます)
分かりにくい曲がり角を、
なんとか見つけてくださるように。
s-DVC00001.jpg






さあ、これで
「迷った」とか、「分からなかった」という
お客様がひとりでも減ることを祈って・・・。

2009/07/24 16:10 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択

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